せっかく戻った過払い金は税金を支払う必要がある?

過払い金には税金はかからない

現在、過払い金を請求して場合に請求者に返還される金額は平均100万円程度であると言われています。

多くの人にとって100万円は大金ですから、このお金に対して税金を支払う必要があるかどうかは大きな問題でしょう。

税金を徴収するための機関である国税庁は過払い金を「所得」とみなさず過払い金を「非課税」の対象としています。

しかし例外があります。

過払い金に利息を付けて請求した場合は利息分が「雑所得」とみなされ、サラリーマンに年間20万円以上の雑所得があれば確定申告の必要が生じます。

過払い金は「不当利益」として利息を付けて請求できる

グレーゾーン金利が違法と認められて以降、日本の司法はどんどん債務者に有利に傾いていきました。

過払い金を請求できるのはもちろんのこと、貸金業者が上限金利法の上限を超えた金利でお金を貸し付けるのは「悪意の受益者」に当たるという判決が出たのです。

悪意の受益者とはこの場合簡単に言えば「金利が違法と知りながら貸し付けを行っていた悪質な貸金業者」という意味です。

そして民法では悪意の受益者が得た利益を「不当利益」として、年5%の利息を付けて返還する義務があるとしています。

現在の司法の判断ではほとんどの過払い金が不当利益とみなされますから、過払い金に5%の利息を付けて請求することが可能なのです。

貸金業者の言い分「みなし弁済」とは

一方、貸金業者にも言い分があります。

今では撤廃されてしまいましたが、旧利息制限法では「みなし弁済」と言っていくつかの条件を満たせば上限金利を超えていても違法ではないという条項があったのです。
(出資法の上限である29.2%以上の金利は認められません)
これも細かい規定はありますが簡単に説明すると「借主がグレーゾーン金利と知りながらも進んで支払った」ならみなし弁済ということになります。

つまり貸金業者の金利がみなし弁済であると裁判で認められれば、悪意の受益者には当たらないため、利息を付けて請求できません。

しかし今の裁判でみなし弁済と認められるための条件が非常に厳しいため、争えばほぼ借主の勝訴となります。

そういうわけで、ほとんどの過払い金は年5%の利息を付けて請求することが可能です。

とは言っても貸金業者の資金繰りが悪い場合は利息分までは取れなかったり、利息を請求すると必ず裁判をしなくてはいけないのでただやみくもに利息を請求すればいいというものでもありません。

過払い金と税金のまとめ

では過払い金の利息が20万円以上になったなら、税金はどうなるのでしょうか。

たとえば過払い金が200万円返還され、その内の30万円が利息だとすれば、請求者の収入に利息分を上乗せした分を総所得として申告することになります。

仮にその人の年収が500万円なら30万円の利息を上乗せして530万円の所得として申告するわけです。

日本は所得が多ければそれに比例して税率が上がる制度を採用しているので、ここでは利息がいくらなら何円の税金がかかりますとは説明できません。

全て過払い金を受け取った人の年収によるからです。

過払い金の利息が20万円以上生じた場合の正確な税額は税務署へ問い合わせるか国税庁のHPで確認するのが一番いいでしょう。