「おまとめローン」とは
「おまとめローン」とは、例えば3社から借金をしていて毎月の返済額が5万円だったとすれば、新たにもう1社と契約して3社の借金を全額立替えてもらい、債務者がその1社に毎月4万円を返済するという返済方法になります。
この例を見ると毎月5万円の返済が4万円になるので、多重債務者にとっては確かに魅力的な返済方法に思えますし、使いようによっては効率的に借金を返済することが可能です。
しかし、おまとめローンは債務整理と秤をかけて比べるものではありません。
なぜなら多重債務者が安易におまとめローンにすればそれ以前よりも状態が悪化する可能性もあるからです。
では一見得なようで実は損になるのはどんな場合なのでしょうか。
「過払い金」が発生する可能性がある場合
まず決しておまとめローンにしてはいけないケースが、「過払い金」が発生する可能性がある場合です。
過払い金は平成18年以前から返済を続けている場合、利息制限法の年20%(場合によっては15~18%)を超えた金利を支払っている可能性があるので「引き直し計算」で正しい金利に計算し直し、払い過ぎていた借金を返還してもらうことです。
ところがもしA社からB社に借り換えておまとめローンにしてしまうと、A社の借金の履歴がリセットされることになってしまい、後で過払い金を請求しようとしても不可能になってしまいます。
そのためおまとめローンは平成18年以前からの借金がある多重債務者が最もしてはいけない方法なのです。
かえって金利が高くなるケースも
もう一つのパターンとしておまとめローンにしてしまったばかりに以前よりも金利が高くなるケースがあります。
毎月の返済額が低くなることばかりに注意を取られると、長い目で考えた返済額に思い寄らないことがあるのです。
もし返済額を低く設定すれば、自然と返済期間が延びることになります。
すると金利は年間でかかってくるので、同じ額の借金でも毎月高い金額を返済するよりも支払う合計額が高くなることがあるのです。
これはリボ払いで毎月の返済額を低く設定すると利息ばかりを払い続け元本が減らず、結果的に莫大な利息を支払う羽目になるのに少し似ています。
借金は毎月の返済額よりも金利に注意し、引きの視点で考えないと結果として損をしてしまいます。
審査に通らない可能性がある
また金融機関も商品としておまとめローンを扱っているので、意外に審査が厳しい面があります。
審査基準は普通に借り入れの申し込むのと同じように、信用情報に滞納や遅延などの情報が記録されてないか、勤続年数がある程度あるかなど債務者に返済能力が備わっているかが大切になってきます。
また、「おまとめ」とは言っても通りやすいのは3社までの多重債務でそれ以上になると審査に落ちやすいでしょう。
仮に返済能力に難のある債務者が審査に通ったとしても貸し倒れ対策として高い金利を設定される場合があります。
短期間で返済できる場合はオススメ
つまりおまとめローンとは債権者が3社程度までで、ある程度短期間に返済が済む見通しがあるならお得だという結論になります。
逆に「毎月の返済が苦しいから」という理由ではかえって返済額が高くなる可能性があるので、返済に追い詰められて「おまとめローンか任意整理か」と悩むような状況では任意整理を視野に入れるのが賢明な選択でしょう。
借金は金利が絡めば返済額の計算が複雑になるので、おまとめローンが出来そうな場合も専門家に一度計算してもらうといいかもしれません。