① まずは数万のキャッシングから
どんな事情でお金が必要になったとしても、初めてでいきなり上限額ギリギリまで借りる人はまずいません。
ほとんどの人が最初は借金に抵抗を持っているため、恐る恐る数万から多くても数十万程度の借り入れをします。
そして期日までにしっかりと返済を済ませてしまうのです。
この段階において借金の感想は二つに分かれます。
一つは「意外とお手軽で怖くなかった」という人と「やっぱりお金を借りて生活するのは心理的に負担だった」という人です。
後者の人はその後地道に生活を立て直し多重債務に陥ることはありませんが、問題は前者の感想を持ってしまった人です。
つまり前者の人のような感想を持つということは「借金に対して抵抗がなくなった」状態なのでこの時点で多重債務の黄信号です。
② キャッシング枠ありきの生活になる
最初の借金と返済があっけなく済んでしまい、お金を借りることに抵抗がなくなってしまった人は多重債務への第二段階の道を歩み始めます。
生活が自分の収入だけでなくキャッシング枠を含めてのものになってしまうのです。
この段階になると「キャッシング=借金」という意識はなくなってしまい、「キャッシング=自分の貯蓄」くらいの認識に移行していきます。
しかし忘れてはならないのはキャッシング、つまり借金には利息が付くということです。
この利息は年15%程度の高利であり、仮に100万を借りて1年で返済するなら金融機関に115万円を支払うということになります。
だからわずかでも金利が付く貯蓄とは正反対の性質であり、借金の返済方法は収入を増やすか節約をするしかありません。
そしてこれらの対策を取らずにキャッシングを繰り返せば金利が債務者に重くのしかかってきます。
③ キャッシング枠が増える(借金が増える)
ここまで来ると感覚がマヒしてくるため、生活費をキャッシングなどの借金で補てんする生活が徐々に出来上がってきます。
金融機関も「返済の履歴がある」ということで枠を広げて債務者に更なる融資を勧めてきたりしますが、債務者は正常な判断力がないため逆に「使えるお金が増えた」などと喜んで更に借り入れを行うことさえあるのです。
しかし実際にはじわじわと毎月の返済額が増えていき生活を圧迫していきます。
「返済が苦しくなってきた」と債務者が感じ始めるのも大体はこの辺りですが、恐ろしいのはこの段階になると「足りない生活費の補てん=借金」の図式が債務者の中で出来上がってしまっていることです。
④ カードが増える(借金をする金融機関が増える)
借金の返済額はやがて生活を圧迫し、最初の金融機関の枠では返済に追いつかなくなります。
この段階になればお金が足りなければ借金をするものという考えに染まってしまっているので、別の金融機関から新たに借金をするのも抵抗がありません。
こうして借金の返済を借金でするといういわゆる「自転車操業」の状態になり、多重債務の出来上がりです。
気が付けば金利は膨大になり、毎月返済してもほとんどが金利に消えていき元本が減らない悪循環で、ここで初めて弁護士への相談や債務整理などを検討するようになります。
中には債務整理に抵抗があり、おまとめローンなどで解決しようとする債務者もいますが、ここまでになると債務整理するかよほど強い意志で生活を立て直すかしなければ解決は難しいでしょう。