債務整理をした場合には今入っている保険を解約しなければいけないのだろうか?と思うかもしれませんね。
せっかく若い頃に良い条件で加入できた保険を解約しなければいけないとなると、「ちょっと嫌だな」と思うのは無理のないことです。
また新しく保険に入り直したとしても、病気をしていたりするなど条件が変わってしまっていると、同じ条件で加入することは厳しいでしょう。
債務整理には
・自己破産
・個人再生
・任意整理
という3つの方法があり、どの方法を選ぶかによって保険の取り扱いは変わってきます。
まずは自己破産の場合についてみていきましょう。
自己破産をするときのルールには「価値ある財産については、お金に換えて債権者に対する返済に充ててからでないと、借金の支払責任を免れることができない」というものがあります。
そして自己破産は財産処分が原則となっているので、保険は資産として扱われてしまい処分の対象になります。
例えば解約返戻金のある保険であれば、解約することで返戻金としてお金が戻ってくるので、自己破産をする時はそのお金を借金の返済に使いなさい、ということですね。
しかし保険の解約返戻金の総額が20万円以下の場合には、保険を解約する必要はありません。
この金額は裁判所によって異なる場合がありますが、多くの場合、自由財産の拡張が認められるのでそう言った扱いになることが一般的です。
ただし、保険契約が複数ある場合や一つの保険の解約返戻金の見込額額が20万円を超える場合は、全ての保険を解約することが必要になります。
ただしテクニックとして、解約返戻金相当額を破産財団に組み入れて、保険を解約せずに解約返戻金を換価しないとすれば、解約せずに済むことがほとんどです。
これは知っているのといないのとでは大きくその後が異なってきますね。
債務整理 保険②
次に個人再生についての保険の取り扱いをみていきましょう。
個人再生とは自分の財産を処分せず、債務を減免した上で、残りの債務を原則3年間で分割弁済をすることできる債務整理の手続きです。
「自分の財産を処分せず」とあるように財産の処分は必要ではありませんので、保険を解約する必要はありません。
特別な理由がない限りはそのまま保険を継続することができますので、解約返戻金の総額が20万円を超える場合でも心配する必要はないでしょう。
最後に任意整理に対しての保険の取り扱いです。
任意整理とは、裁判所を介さずあなたとお金を貸してくれた人の間で和解し、その和解内容で返済を行う手続きのことです。
自己破産や個人再生と言った比較的大きな債務整理になってしまうと、保険を含めたすべての債権を手続きの対象とする必要があります。
しかし任意整理の場合は話し合いによっては特定の債務のみを対象として手続きをすることもできるのです。
つまり保険は債務の対象としない、という任意整理ができるので、保険を解約する必要はありません。
このように保険について考えると、債務整理をする場合には自己破産を選ぶよりも個人再生や任意整理を選ぶと良いというわけです。
ただし保険だけで債務整理を考えることはできませんから、総合的に判断することをお勧めしたいと思います。
債務整理 保険③
次に、「債務整理をしたらもう二度と保険に入れなくなってしまうのではないだろうか?」と不安の声を聞くことがあります。
債務整理をすると、借金を精算した後の生活になるので何かしらの制限を受けることになるのではないだろうか?と思うのは当然のことかもしれません。
しかしその点に関しては全く関係ありません。
債務整理というは今ある借金を整理する手続です。
債務整理が終わった後は元どおりの生活をすることができるので、制限されることはありません。
確かに債務整理をするとブラックリスト状態になるというデメリットはあります。
ブラックリストに載ってしまうと住宅ローンやマイカーローンなどの利用も出来なくなりますし、自分名義でクレジットカードを発行することも出来なくなります。
そのため、債務整理手続中であっても新しく保険に加入することは十分に可能です。
というのも生命保険は貸付や融資とは異なるので、個人の信用情報とは無関係だからです。
また生命保険の契約者貸付は利用出来なくなってしまうのだろうか?と思うかもしれませんが、任意整理をしても生命保険の契約者貸付を利用することは可能です。
債務整理 保険まとめ
この記事では債務整理と保険についてみてきました。
債務整理には自己破産、個人再生、任意整理があり、それぞれによって保険の取り扱いが変わってきます。
そのため慎重に考える必要がありますが、保険を解約せずに整理することは十分に可能です。
また債務整理をした後でも保険に加入することはできますから、諦める必要はないでしょう。