債務整理したら保証人に請求が行くのか
おそらく借金問題で最も人間関係に支障をきたすのが保証人の問題でしょう。
保証人とは債権者がお金を貸した時に貸し倒れないよう付けられるもので、債務者の返済が困難になれば債権者は設定した保証人に請求します。
どんな場合でも債務整理すれば保証人に請求されるわけではなく、たとえば任意整理なら債権者に分割で支払うことを了承してもらえれば保証人が返済する必要はありません。
しかし問題は個人再生と自己破産の手続きをする場合で、これらは借金が大幅に減額されるか全て免除される上に特定の債権者を避けて手続きすることができません。
そうすると返済が見込めない分の借金の請求は保証人にされることになります。
そしていったん保証人になってしまえばこの義務から逃れることは大変難しくなるのです。
保証人をやめることはできるケース
正式に保証人だと認められれば原則として債務者が借金を払い終えるまでやめることができないのが保証人の恐ろしさです。
しかし、次のようなケースなら保証人としての責任を求められることはありません。
保証人として有効かどうかは契約時に本人の同意があったかが焦点になります。
①勝手に保証人欄に記入された場合
本人に了承を得ず勝手に署名をされたなら無効です。
ただし債権者が後で保証人に電話連絡をし、それに同意してしまったら「了承した」とされ無効にはなりません。
②勝手に実印を押された
これも署名の場合と同じで無効になりますが、勝手に実印を使用されたことを証明しなくてはならないので、場合によっては無効にするのが難しいこともあります。
保証人をやめられないケース
契約時に同意があったとされれば無効になることはありません。
たとえば次のようなケースです。
①白紙委任状に署名捺印をしてしまった
白紙であっても自分の意思で署名捺印したわけですから保証人ということになってしまいます。
②気が進まないのに保証人になってしまった
よくあるのが頼み込まれて渋々保証人になってしまうパターンですが、これも有効です。
債務者の返済が滞ったときはもちろん、後で気が変わって保証人をやめたくなったとしても認められることはありません。
しかし脅されて無理やり署名捺印させられたなら「脅迫による意思表示」として無効になりますが、これもその事実を証明しなくてはならないので場合によっては無効にするのが困難になります。
保証人に請求が行き、保証人にも返済が困難な場合
もし保証人に支払いの請求が来たとき、その保証人にも返済能力がないなら残念ながら保証人自身も任意整理や自己破産といった債務整理の手続きを行うことになります。
いったん正式な手続きを経て保証人になってしまった以上、法的に借金を返済する義務から逃れることはできないのです。
よく「保証人には絶対なってはならない」と言いますが、全くその通りで投資とは異なりリターンがなく、あるのは債務者に代わって借金を清算する義務だけだからです。
そのため相当な事情がない限りは保証人になるべきではありませんし、相当な事情があったとしても保証人になるのはできる限り避けるのが賢明でしょう。
また、白紙の委任状を市役所の委任状などと偽り署名捺印されるケースも多くあります。
どんな説明をされても白紙の文書に署名捺印をしてはいけません。