多くの過払い金が時効を迎え始めている
過払い金はグレーゾーン金利が出資法で取り締まられることのなかった2010年までの取引で発生します。
(2008年ごろからグレーゾーン金利廃止で貸金業者が金利を引き下げ始めたため、2010年以前の取引でも過払い金が発生しないことも多くあります)
そのため過払い金が発生するギリギリの時期の取引においても、消滅時効は平成32年までと期限が刻々と迫っています。
過払い金の存在は近年CMなどでさかんに宣伝されたためメジャーな知識となり、すでに請求が済んだ人々も多い一方で、消滅時効や取引の中断の誤解によりいまだに請求できていない人々も多くいると言われています。
しかし確実に言えることは過払い金には消滅時効があるため、請求が早ければ早いほど有利であるということです。
提訴すれば消滅時効を中断できる
消滅時効は取引から10年以上経過すれば有無を言わさず成立するわけではなく、提訴することによって引き伸ばすことができます。
提訴とは裁判所を通じて手続きを行うことでこれを行えばその時点から10年が過払い金の消滅時効になります。
つまり提訴によって消滅時効を引き延ばせば、新たに10年の時効ができるというわけでとても強力な中断方法なのですが、裁判所を通した正式な手続きのため時間と費用がかかるのが欠点です。
それでもこの方法なら申し立てが受理されるとすぐに消滅時効が中断され、その後確定判決が出れば改めて10年時効が延長されます。
提訴する猶予がない場合は催告する
しかし上のように消滅時効を中断したくても準備期間が足りない場合は、裁判所を通さず行う「催告」という方法で中断します。
催告と言うと難しく聞こえますが、簡単に言うと「とりあえず過払い金の請求を行う」ということで、これをすれば消滅時効を半年間引き延ばすことができます。
過払い金の請求は電話でしようと書面でしようと形式に関係ないのですが、「請求をした」という記録を確実に残すために内容証明郵便で行います。
それでも期限に間に合わないときにはFAXを利用します。
とにかく過払い金を請求したという記録が残ればいいというわけです。
このように催告は提訴と比べて簡単に行えますが、肝に銘じておきたいのが結局は一時しのぎの方法だということです。
催告で生じた半年の期間内に法的な手続きを行わなければそのまま時効が成立してしまうので注意が必要です。
消滅時効は過払い金最大の争点
ここでは消滅時効を引き延ばす方法を簡単に説明しましたが、実は消滅時効の問題は過払い金請求において最も重要な問題です。
「最後の取引から10年」と書いてしまえば簡単に思えますが、現実の取引は何年も長期に渡っていたり、借り入れと完済を繰り返していたりと判断を複雑にする材料に溢れています。
過払い金問題で請求者と貸金業者の意見が折り合わなければ最後の判断は裁判に委ねられることになります。
しかし判断が微妙なケースの消滅時効は裁判官によっても意見が割れることも少なくありません。
そこで確実に過払い金を回収したいときは時効に詳しい信頼の置ける弁護士を探すことが優先事項になるでしょう。
請求期限が迫っていると気持ちは焦りますが、弁護士探しは慎重に行わなければなりません。