自己破産とはどんな制度なのか
自己破産は裁判所に申し立てることですべての債権者からの借金を免責にしてもらう手続きのことです。
債務整理には4つの方法がありますが、借金が免責になるのは自己破産だけになります。
このように債務者に対してメリットの大きい制度ですが、法的に自己破産の目的は債務者の経済的な生活の立て直しと、債権者のために債務者の財産を清算して返済に充てるという2つの側面があります。
つまり自己破産とは、債務者のみならず債権者のための制度でもあるのです。
そのため自己破産にあたって、債務者は自身の個人的な全て資産を清算する必要があります。
この方法は自身で申し立てることも可能ですが、手続きが複雑なため弁護士に依頼するか、依頼しなくても意見を聞いておいた方が良いでしょう。
自己破産は「管財事件」と「同時廃止」がある
自己破産には「管財事件」と「同時廃止」の2種類があります。
管財事件は債務者にある程度の財産があり、それを清算して債権者に分配する場合にとられる方法です。
債権者と債務者との過去の事実関係や債務者の個人資産などを調査するのに、大きな手間と時間が必要なのでその業務を行う「破産管財人」が関わるのが特徴です。
自己破産を管財事件として進めるには最低でも20万円が必要なため、このラインが自己破産が管財事件になるかどうかの一つの目安になります。
しかしほとんどの自己破産の申立人(債務者)は資産に余裕がありません。
このように清算するべき資産がない場合は、破産管財人を必要としない「同時廃止」になり、免責手続きだけが進みます。
原則として自己破産ができない借金がある
自己破産のメリットは何といっても借金が免責されることでしょう。
そして借金そのものの免責は自己破産の手続きでしか得られることはありません。
しかし、だからと言って自己破産を借金帳消しのリセットボタンのように考えるのは大変危険なことです。
なぜなら自己破産には「免責不許可事由」というものがあり、浪費やギャンブルでできた借金については適用外になってしまうからです。
自己破産の手続きを進めていく上で浪費や債権者隠しがないかどうかも含め、家計の調査も行われます。
仮に上記のような免責不許可事由が明らかになった場合は、せっかく費用をかけて自己破産の手続きを行ったとしても全て無駄になってしまうので注意が必要です。
自己破産はデメリットが大きいのか?
一般的には自己破産は資産も社会的信用も何もかも失うように思われていますが、具体的にはどうでしょうか?
確かに車や土地といった資産をはじめ、自己破産では現金は99万円までしか手元に残すことを許されていません。
しかし社会的信用に関して、信用情報に傷がつく(ブラックリストに載る)や官報に載ることは実際にそれほど広く世間に知られるわけではなく、大きな借金を抱えて暮らすリスクに比較すればそれほど恐れることでもないでしょう。
ただし、自己破産すれば職業に制限がついてしまいます。
たとえば弁護士などの士業や警備員、生命保険関連などの一部の職には就けなくなってしまうのです。
もし、申立人がこれらの職で生活していたとしたら生活の糧を失うことになってしまうので熟慮が必要です。